牛面魚鳥
 昔々・・豚面魚を生み出した研究員達が再び出会った時のこと。今度は牛肉と魚と手羽先を同時に味わってみたいという、馬鹿げた案が再び持ち出された。

遺伝子組み換え技術がさらに発達した世の中で、この研究者たちの手にかかれば出来ない物はなかった。結果、頭部が牛で胴体が魚、背中には翼を生やした生き物を生み出してしまう。

雌雄とも完成し、その2頭から複数に繁殖する予定の計画でもあった。陸地には住めないが、海と空を行き出来る、今までに無かった新生物である。

しかしながら、この雌雄生物達は人類にも共通した面があり、調査の結果、人間の夫婦関係に類似した行動をとることが判明した。このような諸事情によって子孫は栄えず、自然消滅してしまうのである。

肝心の味はどうだったかと言えば、誰も食した事実が残されていない。ある情報によると、海で捕えようとすると空へ高く逃げてしまい、あまりにも俊敏で、舞い上がった瞬間に自らの糞を人間にひっかけていく憎たらしい習性があったそうだ。

まるで傲慢な人間に対して嘲笑っているかのような生き物であった。
 
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